業界動向 PL法で合成洗剤による皮膚障害起訴起こる
誌名: オートケミカル
出版社: 日本オートケミカル工業会
1997年 186号 p.27〜29
B5版で2頁半ほどの記述なので、情報量が少なくその詳細をここからだけで判断することはできないが、あらましをまとめてみよう。
引用p.27より---------------------------------------
35歳の女性が「台所用合成洗剤を使用して皮膚障害になった」として、メーカーの花王を相手取り、PL法に基づく損害賠償請求訴訟を起こした。すでに東京地裁で3回の口頭弁論が開かれている。同訴訟は日本消費者連盟発行の「消費者リポート」で紹介され、「合成洗剤による皮膚障害の初のPL訴訟」として大きな関心を呼んでいる。
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以下両者の言い分をまとめてみよう
Aさんの主張
原因・・・ファミリーフレッシュ(台所用合成洗剤、花王製品)
症状・・・両手の手先に細かい水泡性ブツブツができ、痛みと痒みを感じた
睡眠不足も頻繁に経験、手先の感覚も鈍くなり皮膚下内出血の症状を呈した
使用期間・・約2ヶ月
それ以前・・P&Gのジョイやアムウェイ製品などを使っていたが皮膚障害の経験なし、洗濯用洗剤や他の洗剤には一切手を触れていない
簡易パッチテスト・・自宅でファミリーフレッシュの原液を使ってやったところ、陽性→ペロッと皮がむけるほど
↓
近所の皮膚科の診断・・「洗剤による接触性皮膚炎、全治1ヶ月」
↓
専門的なパッチテスト・・病院で実施。標準使用液と水→陰性、原液→陽性
花王の主張
「誤った使用法をAさんはしている」
1)濃度が濃い・・・標準使用量の約10倍
2)変質するような使用法・・・洗剤の希釈液には雑菌が繁殖していた(Aさんが使用していた当該品の希釈液を花王が検査)
「原因が特定されない」
1)Aさんが在住する都内渋谷区内の花王が紹介した皮膚科医での診断→接触性皮膚炎
2)パッチテストの結果→陰性(使用していた当該品の原液と希釈液を2つに分けて皮膚科に持参パッチテストを受けた)
「事故との因果関係が明確になったとは判断できない」
1)再度のパッチテストを要求(ファミリーフレッシュ及びジョイ、アムウェイ製品)
Aさんが調停申請
↓
調停が不成立
↓
簡易裁判所に提訴(70万円の損害賠償請求)
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花王側が東京地裁へ移送申請(欠陥はなく因果関係も存在しないが、争点が多岐に亘り立証も複雑になることが予想される)
↓
東京地裁に移送が決定
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個人的感想
う〜ん、拗れたんだな。感情のもつれか?
70万円の損害賠償請求の内訳はわからないが、手に受けた皮膚障害のため本業(化粧品販売業)を休業せざるを得なくなったという。休んだ日数×一日当たりの収入を証明する物とかから割り出した休業補償プラス裁判費用なのだろうか?訴訟自体は本人訴訟で起こしているが、4回目以降の口頭弁論からは弁護士体制も組む予定とのこと。
さて、この記事から3〜4年経っているわけだが、判決がもう出たのだろうか?それとも和解だったのだろうか、もしかして未だ係争中?この記事からは事件番号も分からないし、判決が出されていなければ、関係者以外その後の経過や結果もわからないだろう。
個人的には灰色は白だから勝訴はないと思う。
もし、当該製品と皮膚障害との因果関係を立証するなら特異体質によるものではないことを立証すべく同様の皮膚障害を手に受けた人が集まって集団で訴訟を起こさなければ無理だろう。
ただその場合も当該製品以外に発症の原因がないことを証明するのは難しいだろう。
1.手は手洗い用の洗浄剤(石けんやハンドソープ)、シャンプー、リンス等を素手で頻繁につける部位である。
2.手にはハンドクリーム等もつけることが多い。
3.手に化粧品や毛髪用品をつけてのばすことがある。
4.台所用洗剤として同一メーカーの同一品を使い続ける人は少なく、複数製品を使っていると皮膚障害後のパッチテストでは恐らく複数製品に陽性を示してしまうのではないか?
5.例えば香料アレルギー等を起こした場合、他の製品(化粧品や毛髪用品)に対しても反応(例えばパッチテストで陽性が出る等)してしまうのではないか?
等々いろいろ考え、PL法のサイトを見てたら、その商品に欠陥があることを認めさせなければならないようだ。この場合、合成洗剤の特性が直ちに欠陥に当たるとも思えないし、濃度も標準使用量を守っていない。さて表示の問題はその時点でどうだったのだろうか?もっと資料が欲しい。
東京地裁へGO!
消費者リポートに載っていたというので日消連のサイトも見てみた、そしたら「本人訴訟を終えて Oさん」なんてのが消費者リポートにあって、「それかしら?」と電話してみたが、それは化粧品関係の訴訟だった。事件番号さえ割り出せればの思いで次に東京地裁に電話してみた。すると、判決の出たもの以外でも閲覧は可能とのこと。つまり、裁判官が使用中とか非公開扱い以外のものは和解したものでも公判記録が見れるというのだ。
電話に出た人は親切で、閲覧申請時間の詳細やパソコンで手がかりになる言葉を入力して検索できる旨を伝えてくれた。兎に角東京地裁へ行ってみることにした。
地裁は高裁と一緒にこの大きな建物にもう大分前に移転していた。プレートで民事の閲覧室を確認し、更に受け付けの人にも尋ねた。ようし14Fだ!
民事の受付というところには外来者が利用できるパソコンはたったの一台。いかにも司法関係者という感じの人が検索中。空くのを待つ間に検索カードなるものが入った引き出しが沢山並んでいるのを発見。昭和63年とか平成元年とか年度順で、平成9年まである。張り紙は一種類。
1.原告からも被告からも引ける
2.あいうえお→1
かきくけこ→2
さしすせそ→3
・・・・・・・・・・・ という決まりで、株式会社等は省略して名称から引くこととある。
箱は年度順に平成9年の1−1,1−2、1−3,・・・・と並んでいる。
誰かに聞くという雰囲気でもなく、職員に質問するにしても番号カード順のようで、番号カードをとってみたが、待っている間に、
1.パソコンは平成10年以降のものしか入力されていない
2.平成9年以前のものは検索カードで引くしかない
ということが解り、本気でこの検索カードの引き方を考えた。
まず、この事件で解っているのは、被告が「花王」であること。提訴がオートケミカル誌から察するに1997年、つまり平成9年と思われること。
「花王」は、211となる
そこで平成9年の2−1の箱から探す。引き出しを開けて、211を探せばよい。つまり210とかの後をずっと辿っていくと、そこに確かに211「花王」が被告の民事事件があった。カードに原告名は記載されていなかったと思う。事件番号や担当部をメモして、窓口の人には「自分で解決しましたから番号カードを返します」と伝え、閲覧申請の部屋へと行った。
雑感
結局、敷居が高くて慣れないと一般人には解りにくい説明の不親切な張り紙だと思う。2−1とかいう箱を開けると、どういう順で並んでいるのかに面食らってしまう。あいうえお順でもなく、まさにランダムな感じだったが、あれは50音順という先入観が邪魔するのだな。50音を定めた決まりに従って数字に変換したその数字順だったのだ!でもまぁ、見つかったから一安心。