アルフレッド・ニューマン
Alfred Newman   1900〜1970
早崎 隆志

=Contents=

  • =ミニ評伝=
  • =ニューマン:歩みと作品=
  • =ニューマン:名曲案内=
  • =ニューマン映画音楽リスト=

     サーチライトが交錯する20世紀フォックス社のトレードマーク画面に、壮大な「パンパカパーン」というファンファーレが鳴り響く……かの有名な「20世紀フォックス・ファンファーレ」 (1935)を作曲したのが、このおじさんです。
     アルフレッド・ニューマンは、20年以上も20世紀フォックスの音楽部長として君臨し、255本の映画を手がけ、9個のアカデミー賞を手にし (ノミネート45回)、その間にマリリン・モンローの映画や、R.ロジャースとO.ハマーステイン2世原作のミュージカル映画の音楽監督もやるし、D.ラクシン、B.ハーマンら若い作曲家の発掘も行なう−−というものすごい人です。


    =ニューマン:ミニ評伝=

     彼は1930年にハリウッド入りし、1933年にダリル・ザナックが設立した20世紀映画会社の音楽部長となります。20世紀映画社は1935年にフォックス映画と合併して20世紀フォックス社となりますが、この時ニューマンが作ったのが「20世紀フォックス・ファンファーレ」です。合併後、いったん20世紀フォックスを出ますが、1939年からは20世紀フォックスの音楽部長として存分に腕を振るいます。

     ニューマンの音楽は、初期は『嵐が丘』 (1939)、『聖処女』 (1943)、『慕情』 (1955) (有名な主題歌はS.フェイン作曲)のように流麗な弦楽 (フォックス・ストリングス)を中心にしたロマンティックなものが多いのですが、中期から『聖衣』 (1953)、『無頼の群』 (1958)、『西部開拓史』 (1962)のように力強い芯のある作品を書くようになり、晩年には『ネバダ・スミス』 (1967)、『大空港』 (1969)など、生命力あふれるリズムと見事なオーケストレーションが一体となった聴きごたえのある傑作を生みました。

     このようなニューマンの優れた曲の数々が映画と共に忘れ去られようとしているのは、実に残念なことです。皆さん、是非一度アルフレッド・ニューマンの音楽にまじに耳を傾けて下さい。とりあえずC.ゲルハルト指揮ナショナル・フィルの「ニューマン作品集」が必須アイテムです。

     ちなみに、ニューマン一族は映画音楽一家で、アルフレッドの弟ライオネルとエミールも映画音楽で活躍しました。また、アルフレッドの2人の息子デイヴィッド、トマスも今をときめく映画音楽作曲家として人気急上昇中です。ランディ・ニューマンもアルフレッドの甥です。




    =ニューマン:歩みと作品=

    1901年3月17日
     コネチカット州ニュー・ヘヴンで生まれた彼は早熟な天才児だった。

    1909
     8歳の時ベートーヴェンのソナタを舞台で演奏。

    1911
     10歳の時、単身ニューヨークにやってきてピアノと音楽理論を勉強。しかし正式の音楽教育はこの時から2年間しか受けられず。

    1913
     12歳で名ピアノ奏者兼作曲家パデレフスキ (1860〜1941)の後援を得てニューヨークで独奏会を開いた。

    1914
     ニューヨークに移ってきた一家を養うため、ブロードウェイの映画館でピアノを弾き、ヴォードヴィル一座の巡演に加わって指揮をマスター。

    1918
     17歳で、ブロードウェイ・ミュージカルの指揮者としてデビュー。最若年指揮者の記録となる。

    1920
     「ジョージ・ホワイトのスキャンダル」の指揮・音楽監督を任せられる。

    1930
     この年春 有名なポピュラー作曲家I.バーリンの勧めで、ブロードウェイからハリウッドへ移る。
     同年、『フーピー (Whoopee!)』 (1930)で大物プロデューサー、サミュエル・ゴールドウィンと知り合う。

    1931
     『月世界征服』 (1931)が最初の音楽監督作品。
     同年 チャップリンのサウンド版映画『街の灯』 (1931)の音楽の編曲と、ゴールドウィン製作のキング・ヴィダー監督『街の風景』 (1931)への作曲で注目され、ユナイテッド・アーティスツ (UA)の作品の音楽を担当した。『街の風景』の音楽は、トーキー最初の劇音楽 (ドラマティック・スコア)として知られる。

    1933
     ダリル・ザナックが設立した20世紀映画会社 (年にフォックス映画と合併し、20世紀フォックスとなる)の音楽部長となる。

    1935
     20世紀映画会社はフォックス映画と合併し、20世紀フォックスとなる。
     ニューマンは合併後20世紀フォックスを飛び出し、しばらくはゴールドウィンの下で仕事をした。
     この頃はコルンゴルトの影響を受け、『ゼンダ城の虜 (The Prisoner of Zenda)』 (1937)、『奴隷船 (Slave Ship)』 (1937)のようなダイナミックでスケールの大きいシンフォニック・スコアを書くようになる。 この傾向は『激闘 (Son of Fury)』 (1942)、『征服への道 (Captain from Castile)』 (1947)などに続く。

    1939
     20世紀フォックスに戻って、音楽部長に就任する。
     フォックスの音楽部長時代は年間60本の映画音楽を仕上げたと言われている (大部分は監修のみだろうが)。

    1940年代
     シェーンベルクから教えを受ける。

    1960
     1月、20世紀フォックスの音楽監督を辞任。

    1970
     2月17日、死去。69歳。



    =ニューマン:名曲案内=

     ニューマンのスコアは名曲揃いで、その中で何をお勧めしようか、とっても迷います。
     『怪傑ゾロ』 (1940)も『蛇の穴』 (1948)もいいのですが、きりがないからいくつかに絞って列挙しましょう。

    20世紀フォックス・ファンファーレ (1935)
     サーチライトが交錯する20世紀フォックス映画社のトレードマーク画面に響く、かの有名なファンファーレである。

    ロイヤル・スキャンダル』 (1945)
     エネルギッシュで最高に楽しい音楽です。オケも充分鳴っている!

    三人の妻への手紙』 (1948)
     ここではうって変わって物憂いサキソフォーンが優しいブルースを吹き、管弦楽で高まり、最後にまたサックスで消えるムードたっぷりの曲。

    海の男』 (1949)
     力強い男性的な作品で、特に「ホーンパイプ舞曲」の盛り上がりは聴きもの。

    イヴの総て』 (1950)
     『ロイヤル・スキャンダル』に似た元気の良い曲で、やはりフル・オケの魅力が存分に発揮されています。

    アンネの日記』 (1958)
     これは名作です。弦楽合奏を主体とした地味なスコアながら、切々と訴えるような曲調は次第に高まり、聴く者の胸に熱いものをこみ上げさせずにはおきません。ニューマンの音楽の人間味豊かな暖かい側面が最も発揮されたスコアの一つです。

    追想 (Anastasia)』 (1956)〜メイン・タイトル (アナスタシア)
     没落したロシア王室の皇女アナスタシアをめぐる物語は、I.バーグマンの美しさとテーマ曲が印象的でした。いま聴くとやや大げさで大時代的な感じですが、それにしても旋律は魅力的。転調の巧みさにニューマンの面目が見られます。

    西部開拓史』 (1962)
     文字どおり西部開拓の歴史を描くシネラマ大作映画で、音楽もそれに応じてスケールが大きい。メイン・タイトル曲はニューマンの代表作の一つで、、歯切れのよいリズムに乗ってホルンが勇壮な主題を吹き、力強く進行していきます。

    ネバダ・スミス』 (1967)
     単純なテーマも編曲次第で、いかに生命力溢れるたくましい管弦楽曲に生まれ変わるかを教えてくれる好例です。ニューマンの和声法、オーケストレーションは、もはや神業。

    大空港』 (1969)
     A.ニューマン最後の作品。
     メイン・タイトルは、パニックを予告するような劇的な導入に始まり、ダイナミックな短い動機の積み重ねで発展する主部に入ります。ラテン系打楽器の打つリズムがスピード感を強調し、やがてシンコペートされたリズムを伴奏に、トランペットに第2主題が現れ、他の楽器で展開される。曲は途中で弛緩することなく、最後まで息もつかせずに一気に聴かせる……。
    “現代”という巨大なシステムを見事に描いたこの曲は、スケールの大きさといい、迫力といい、主題の展開法といい、対位法やオーケストレーションといい、聴いたあとの充実感といい、どれをとっても超一級であり、クラシックの管弦楽曲として立派に通用します。紛れもなくA.ニューマンの最高傑作です。



    =アルフレッド・ニューマン映画音楽リスト=

      (作成協力:島田幸市さん

    凡例: <VD> =劇場未公開/ビデオ・タイトル
        <TV> =劇場未公開/テレビ放映時タイトル


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    更新日:1999/05/16; 2002/5/1

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