土を焼いて固めた容器 (焼物) の総称。
詳しく言えば、粘土、石英、長石、陶石など、主にケイ酸塩を主原料とする岩石鉱物の粉末を成形し、乾燥後適当な温度で焼成したものを言う。
ここにガラス、セメントなど容器以外の窯業 (ようぎょう) 製品ないし材料を含めた場合は特に「セラミック」と呼ぶ。
最近はケイ酸塩以外にも、精選された非金属無機質固体(アルミナ、チタン酸バリウムなど)を原料とする新素材が生み出され、それらをとくにニューセラミックス、ファインセラミックスなどと呼ぶようになった。
成形法には手びねり、ひも造りなど手工芸的方法 (手づくね) と、轆轤 (ろくろ) 、鋳込み、プレスなどによる方法がある。
焼きの工程には、(1)素焼きと、(2)本焼きがある。土器の場合は素焼が最終工程となり、陶質土器は長時間の強火度の焼締めにより製品を得る。さらに陶器、磁器は金属酸化物の絵付顔料により絵付けをし釉 (うわぐすり) を施し、強火度で本焼をして仕上げる。また本焼後、上絵付けと称して低火度の上絵用顔料で彩画し,800℃前後で再焼成する場合もある。
=分類=
原料と焼成温度により、次のように分けられる。
- 土器 (どき) ……[材料] 粘土。[焼成温度]様々。[特徴] 釉 (うわぐすり) をかけず,多孔質で吸水性がある。
- 陶質土器 (とうしつどき) ……[材料] 有色土。[焼成温度] 1000〜1300℃。[特徴] 釉を施さない。焼成中の降灰により表面にガラス質の自然釉のかかったものもある。素地は吸水性がなく,不透明。[例] 中国戦国時代から漢代の「灰陶」、朝鮮半島の「新羅土器」、日本の「須恵器」など。
- 陶器 (とうき) ……[材料] 粘土質原料に石英、長石等を加えたもの。[焼成温度] 低火度釉のものは800〜900℃、高火度釉のかかるものは1200℃前後。[特徴] 通常は施釉する。素地は多孔質で若干の吸水性があり、磁器に比べて堅さや機械的強度は小さく、打てば濁音を発す。透光性はほとんどない。
組成により以下のように分けられる。
- 精陶器……素地が白く、衛生陶器、食器などに使われる。このうち磁器質程度までに焼き締めたものを硬質陶器という。
- 粗陶器……酸化鉄等の不純物を含む有色陶器。釉瓦,陶管,かめなどに使われる。
- 磁器 (じき) ……英語ではporcelain。[材料] 良質の粘土、石英、長石、陶石等。[焼成温度] 1300〜1450℃で溶化するまで十分焼き締める。[特徴] 素地は白色,ガラス質で吸水性がなく,透光性があり,機械的強度が強く,打つと金属音を発する。釉は長石質のものを用いる。原料中のアルカリ分が多く焼成温度が比較的低い軟磁器,アルミナ分が多く焼成温度が高い硬磁器に分けられる。[歴史] 磁器製造は中国がもっとも早く、紀元前から唐末にかけて発達し、宋代に完成。朝鮮では11―12世紀、日本では17世紀以降(有田焼が最初)、ヨーロッパでは1707年J.F.ベットガーによる白磁製造成功をもって嚆矢とする。
- 特殊陶磁器 (とくしゅとうじき) ……原料鉱物の特殊な物性を利用した陶磁器。[材料] 精選された非金属無機質固体=アルミナ、チタン酸バリウムなど。[用途別分類] 電磁気用磁器(絶縁体,誘電体,磁性体,半導体)、耐熱磁器、耐食磁器、硬質磁器、多孔質磁器など。[材質的分類] アルミナ磁器,ムライト磁器,炭化物磁器,滑石磁器,チタン磁器,スピネル磁器,ジルコン磁器など。
次のように分類される。
- ニューセラミックス……精選された非金属無機質固体を原料とする新素材。粉体プレス成形法を採用。従来から重視された耐熱性、耐化学薬品性のほかに、超硬性、電気・磁気的特性も生かした工具材料・高周波絶縁材料・誘電材料・磁性材料、サーメット、デビトロセラミックスなども開発された。
- ファインセラミックス……ニューセラミックスよりもさらに微粉化した原料を用いて作られるセラミックス。特性を向上させるために高純度の原料を用い、製品の寸法精度もきわめて高い。酸化物セラミックス、非酸化物セラミックスなど多くの種類があり、用途も機能性材料をはじめ、構造材料,生体材料など多岐にわたる。
=歴史=
- 北朝時代
- 白い素地と無色透明の釉の組合せからなる白色の磁器=白磁 (はくじ) が中国で出現。のちにケイ州窯、定窯、景徳鎮窯などがすぐれた製品を焼成する。
- 7世紀後半〜8世紀中葉
- 唐で王侯貴族墓の副葬品として盛んに「唐三彩」が焼かれる。
「三彩」 (さんさい) は、緑、褐、白などの鉛釉 (ゆう) を施し、低火度で焼成した陶器(軟陶)。
- 唐〜五代
- 古く「越」と呼ばれた地域には、浙江省を中心に徳清、上董、九巌、紹興、上虞、余姚、呉興など、漢から宋代の窯が多数存在し、「越州窯 (えっしゅうよう) 」と呼ばれた。ここでは渋いオリーブ色の「青磁 (せいじ) 」の優品が盛んに焼成された。
青磁は、青緑〜淡青色の釉のかかった磁器で、釉薬中の微量 (1〜3%程度) の鉄分が強火度の還元炎で焼成されることで発色する。
- 1004〜1007 北宋の景徳年間
- 江西省景徳鎮にある磁窯がすぐれた青白磁を焼いて名声を博し、以降「景徳鎮窯 (けいとくちんよう) 」と呼ばれるようになった。
- 北宋代
- 陝西省銅川市黄堡鎮の耀州窯で「北方青磁」が焼かれる。
- 金代
- 華北の河北省邯鄲 (かんたん) 市近郊の磁県にある「磁州窯 (じしゅうよう) 」で、上絵付を施す「五彩」技法が創始された。
施釉され、本焼された焼物の釉面に、赤、緑、黒、黄色などの上絵具を塗り、それを再度低い温度 (700〜850℃程度) で焼き付ける(金や銀色の焼き付けは、さらに低い温度で行う)もの。
- 南宋代
- 浙江省にある中国最大の青磁窯「竜泉窯 (りゅうせんよう) 」や、浙江省杭州に設営された「南宋官窯 (なんそうかんよう) 」で焼かれた青磁は名声を博した。
- 元代
- 景徳鎮窯は、白磁の釉下に絵文様を描く釉裏紅(紅緑彩を施す)や青花(染付)技法を創始。青花磁器はたちまち景徳鎮の主要製品となる。
「青花 (染付)」技法とは、白色の素地に酸化コバルトを顔料として文様を描き、ガラス質の透明な釉(うわぐすり)をかけて焼く技術。元末〜明初のものが名高く、李朝朝鮮へ広まった。
- 明初
- 景徳鎮窯には「御器廠 (ごましょう) 」と呼ばれる官窯が設けられ、「五彩」、「豆彩」といった上絵付装飾も盛んになる。
- 1616
- 文禄慶長の役で捕虜となった朝鮮の陶工、李参平が、佐賀県有田地方が有田で日本で最初の青磁を焼く。
この青磁は伊万里港から輸出されたので「伊万里焼 (いまりやき) 」と呼ばれる(「有田焼」とも)。
のち瀬戸、京都など各地でも磁器が製作されるようになる。
なお、中国で「青花」と呼ばれた磁器は、日本では「染付 (そめつけ) 」と呼ばれた。
- 1621〜1644 明末の天啓〜崇禎年間
- 日本の茶人からの注文に応じ、景徳鎮窯の民窯で「古染付 (こそめつけ) 」と呼ばれる粗製の染付磁器が多く作られた。総じて厚手の作りで、いくぶん暗い発色のコバルト顔料が用いられている。
- 1640頃
- 有田で酒井田柿右衛門が「赤絵」を創始。赤を主調とする上絵付のある色絵を施すもので、中国の「五彩」技法と同じ。
これ以降柿右衛門の伊万里焼の声価はヨーロッパにまで及んだ。染付、赤絵のほか青磁、染錦など多種多様。
- 17世紀半ば
- オランダ南西部、南ホラント州のデルフト (Delft) で、マヨリカ風の陶器を製造が始まる。
スズ釉 (ゆう) 陶器を焼いたデルフト窯は、のちに染付や多彩色の伊万里焼の模造品を作り、以後デルフト陶器はオランダの代表的陶器として知られるようになった。
17世紀末にはオランダ絵画をとり入れた作風と東洋的な作風が主となり、ヨーロッパの窯業を支配するほど盛んになったが、18世紀以降しだいに衰退に向かった。
- 清代
- 景徳鎮窯の官窯がさらなる技術的発展を遂げる。
- 1804 (文化初年)
- 現在の愛知県瀬戸市に、加藤民吉が有田(伊万里焼)の製磁法を輸入、染付磁器の焼成に成功。衰えていたこの地方の窯業は再び盛んとなり、「瀬戸物」は陶磁器の代名詞となった。
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