香辛料
spices [英] こうしんりょう
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 香料 (こうりょう) の一種で、料理、飲物、加工食品などに香りや風味などを付加する副食料。スパイスとも。

 =香料=

 常温で揮発性を持ち、化粧品、食品、嗜好 (しこう) 品などに芳香を与えるために用いる物質を「香料」と総称する。

  • 天然香料……大部分は植物から精油として採取されるが、海狸香 (かいりこう) 、麝香 (じゃこう) 、竜涎香 (りゅうぜんこう) のような動物性香料もある。
  • 人造香料……人間が手を加えて作り出すもの。
    • 単離香料……精油から成分を分けたもの。メントールなど。
    • 合成香料……化学的に合成したもの。クマリン,バニリンなど。
 天然香料および人造香料はいずれも単独では微妙な「におい」の感覚を満足させられないので、実際に用いられるのは、単体香料を混合・調整したベースに、調和剤、変調剤、保留剤を添加した調合香料である。

 用途別には次のように分けられる。

  • 焚香 (ふんこう) (incense) ……薫香 (くんこう) とも。焚いて香りを出す。以下の香木 (こうぼく) も含む。
    • 沈香(じんこう)……インド、東南アジアに分布するジンチョウゲ科の常緑高木で、特にそれが長期間土中に埋もれ、樹脂が浸出して香木となったものを指す。香木のうち、特に優良なものを伽羅 (きゃら) と呼ぶ。
       そのままでは香気は弱いが、火にくべると強い芳香を放つ。
    • 白檀(びゃくだん)……インドネシア原産のビャクダン科の常緑小高木。
       古くから中国との交易品として知られ、「栴檀は双葉より芳(かんば)し」のセンダンも、日本の四国〜沖縄の沿海地に自生するセンダン科の落葉高木のことではなく、インドネシア語で「チェンダナ」と呼ばれる白檀の音訳。
       ティモール島原産説が有力だが、古くから各地で栽培され、南インドなどが産地として有名になった。
  • 化粧香料 (cosmetics) ……女性(主に)が体に振りかける。
  • 香辛料 (spices) ……食品に混ぜる刺激性香料。胡椒、丁子、ニクズク(ナツメグ、メイス)、肉桂(シナモン)など。
 香料は前3000年ころから宗教儀式および医薬として用いられた。
 古代エジプトとオリエント時代からは化粧用、香辛料として用いられた。
 中世末期には、香料を求めるヨーロッパ人の熱望が通商貿易の発達、新大陸の発見、植民地の開発の端緒となった。

 =香辛料 (スパイス)

 強い芳香を放ったり、刺激性の味覚を有する植物から作られた製品を言う。多くは種子、茎、樹皮、葉、根などを乾燥したもので、粉末にすることも多い。
 芳香の強いものは香料ともなり、防腐、防カビなどの効果もあり、民間薬として通用するものも多い。

 歴史は古く、古代オリエントでも愛用された。
 ヨーロッパでは獣肉料理を主とするため防腐、防臭の上から欠くことができなかったが、多くは東洋からもたらされたので高価だった。そのため交易品として膨大な利潤を生み、貨幣の代用ともなった。
 ことに胡椒(ペッパー)、シナモン(肉桂)が珍重され、アラビアを通じ南インド、マルク (モルッカ) 諸島から運ばれていた。

 香辛料の種類は多く、芳香を主とするものはクローブ(丁子)、ペパーミント(ハッカ)、シナモン、ベイリーフなど、辛味には胡椒、ジンジャー(生姜)、マスタードなど、色素としてはターメリックなどがある。
 日本料理では古来トウガラシ、サンショウなどが薬味として使用された。

  • 胡椒 (ペッパー) ……特定の植物ではなく、以下の刺激性植物の総称。
    • 黒胡椒 (ブラック・ペッパー) ……本来の胡椒はこれ(サンスクリット語で「マリチャ」)。インド北東部が原産地で、東南アジアに広く分布。
       コショウ科の常緑性つる植物で、完熟前に果実を取り、その熟度の高いものを発酵させ、流水にさらして外皮を取って白胡椒とし、未熟のものを乾燥し黒胡椒とする。
       白胡椒が高級とされるが、辛味は黒の方が強い。ソース、ケチャップなど西洋料理に広く愛用される。
    • ロング・ペッパー……インドやジャワに広く産する。サンスクリット語で「ピパリ」というから、ギリシア・ローマ時代にヨーロッパに伝わり、各国語に取り入れられた「ペッパー」の語源はこちらと思われる。
    • クベバ実(じつ)……黒胡椒の混ぜ物として使う蔓性植物の実。ジャワ、カリマンタンの各地で取れる。サンスクリットでは「ヴィダーンガ」。
  • 丁子 (ちょうじ) ……英語ではクローヴ (clove)
     高さ10m内外のフトモモ科の常緑高木で、乾燥したつぼみは「T」の時の形をしているので丁子(丁字,クローブ)と呼ばれ、粉末にして香辛料とする。消化促進、健胃剤、かぜ薬にしたり、蒸留して丁子油を取ったりと用途が広い。
     インドネシア東部マルク (モルッカ) 諸島内のテルナテ、ティドーレ、マキアン、モティ、バチャンという5つの島 (ハルマヘラを加えて6島とする説もある) にしか生育せず、19世紀以降でもアフリカ東岸ペンバ島、マダガスカル島の一部にしか移植できていない。
  • ニクズク (肉荳ク)……高さ20mに達するニクズク科の常緑高木で、その実の種の皮(仮種皮)は「メース(ニクズク花)」、種(胚乳)は「ナツメグ」と呼ばれる香辛料になる。
     元来はインドネシア東部マルク (モルッカ) 諸島東南部にやや離れたバンダ諸島とアンボン島でしか取れなかった。
  • 肉桂 (にっけい) ……「シナモン」とも。
     クスノキ科の常緑高木で、根、樹皮を乾燥したものを薬用、香味料とする。駄菓子のニッキもこれ。
     原産地はインドシナまたは中国南部。
     近縁にセイロンニッケイ,カシア(トンキンニッケイ、ケイとも)などがあり、いずれも樹皮から桂皮や香辛料のシナモンを取る。 
  • 生姜 (ジンジャー) …… インド、マレー原産といわれるショウガ科の多年草。香辛料として世界的に知られるが,特にアジアで栽培、利用されている。
  • カルダモン……小豆ク (ショウズク) とも。
     インド、スリランカ原産のショウガ科の多年草。草丈は2〜3mにも達する。種子はカレー、肉料理。魚料理などにスパイスとして使われる他、デンマーク風菓子のフレーバーとして用いられる。
 以上のうちでも特に「スパイス」と呼ばれるのは(1)胡椒、(2)丁子、(3)ニクズク(ナツメグ、メイス)の3大香辛料だけで、そのほとんどがかつてはマルク (モルッカ) 諸島のみに集中していた。
 このためマルク諸島は「香料諸島」と呼ばれた。
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更新日:1999/03/18

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