音階
Tonleiter; Skala [独] / gamme [仏]/ scala [伊]/ scale [英]

 音楽に使われる音を段階的に並べたもの。

 その間隔は「全音」や「半音」に限られるわけではない。それ以外の「微分音程」も、音楽の音階として採用され得る。実際、インドやペルシア(イラン)、アラビア等東洋の音楽では微分音は普通に使用される。
 例えば5世紀頃のインドの音楽理論では、1オクターヴを22の単位(シュルティ)に分解する(ヨーロッパの様に12半音ではない)。実際に用いられる音階は、2〜4シュルティから成る1音程(スヴァラ)を基礎とし、7スヴァラで構成される「グラーマ」 (古代インドの7音音階) だ。この音階(グラーマ)から現在のインド旋法(ラーガ)が発達した。
 アラブ音楽にも、長音程と短音程の中間の音程(「中立音程」)があり、日本民謡にもある。
 微分音程は現代音楽の理論的産物と思われがちだが、それは近世西洋音楽が18世紀以降平均律を採用して微分音を禁止したからであり、それ以前はヨーロッパでもしばしば使われた。古代ギリシアの音楽では四分音(全音を四等分した微分音程)や三分音(同様に全音を三等分)が使われたし、非西欧起源のグレゴリオ聖歌でも装飾的に四分音が用いられた。
 しかし、音階に使われる音程は、やはり全音と半音が普通だ。自然倍音の積み重ねから得られる音階の音程が全音と半音から成るという、音響の自然な性質から来るのだろう。だから、全音・半音を基礎に作られたヨーロッパのドレミファソラシドの音階が世界的にも普遍性を持つ。

 音階は普通は1オクターヴ内に並べられるが、例外もある。例えば古代ギリシア音階は、最初は完全4度を分割しただけのもの(テトラコルド[テトラコード])だった。のちにテトラコードが二つ接続され、オクターヴの幅を持つようになった。また、2オクターヴ以上にわたって分布する音階を持つ民族もいる。
 一般に古代の民謡の方が音階は狭い。例えばイギリス民謡は中世以前には5音音階が支配的で、あとで教会旋法の影響を受けて7音音階(18世紀以降は平均律)に広がった。さらに原始的な民俗音楽は、長2度〜短3度の間だけで動くものが多い。だから、大まかに言えば、音階は単純な2〜3音音階から5音音階へ、そして7音の旋法へ、と発展してきたと考えられる。但しそれはヨーロッパ音楽に限った話であり、東洋の音楽には、音階の幅は広げず、専らそれに装飾を加えるという形で発達したものも多い。

 なお、音階は、中心になる音と、副次的に重要な音とを持つことがある。平均律に基づく近代ヨーロッパ音階の場合、中心音(トニカ=主音または基音)の支配力が極めて強力で、それが旋律全体の動きを決定し、「調性」を作り出している。副次音(5度上のドミナント=属音と、5度下のサブドミナント=下属音)も主音(トニカ)に完全に従属している。

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更新日:2002/03/30

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